歓待

完全ネタバレしますので注意です。まだ観てない人は読まないほうがいいです。


監督:深田晃司 出演者:山内健司、杉野希妃、古舘寛治、兵藤公美、オノエリコ、ブライアリー・ロング、松田弘子、河村竜也、菅原直樹、齋藤晴香 96分

東京国際映画祭|歓待 第23回東京国際映画祭「ある視点」部門正式招待作品


オレは嵐(的な何か)を呼ぶ男!
招かざる者が天使か悪魔かわからないはなし。
ジャンル分けするとすれば「ヒューマン」とか「コメディ」(これはちょっと疑問だけど)に分類されるであろうこの『歓待』という作品。
深田晃司という監督はとても笑いのセンスがあるのではないかと思う。(笑わせようとしているかはともかく)笑わすシーンでとにかくハズさない。感心した。
ざくろ屋敷』、『東京人間喜劇』といった過去作もそのへんのハズさない加減をチェックしたいと思う。


かなり意味深で局所的にかなり笑えて全体としてそこそこおもろかった。というのが正直な感想。
特筆すべきは出演俳優が軒並みうまい、ってこと。


さてその意味深な物語を簡単にしてしまうと、「突然やってきた男(加川)に翻弄され徐々にしかし確実に家庭のイニシアチブを握られてしまう印刷所を営む小林家」といったところなのだけど、


この男、加川がいい。演じる役者(古舘寛治)もうまいのだけど、設定がいい。怖いほどブレない。作品の芯になっている。
「こんなやつおる!」な身近に感じる振る舞いながら、奥底に狂気も漂わせつつ、全てを見通す神のようでいてやることは破茶滅茶。うーん際立ってる。レベル的にはバカボンのパパと張るんじゃなかろうかw


いろんな解釈ができる作品だと思うんだけど、日頃からハリウッド作品をメインに超大作ばっかり観ているせいだろうか。良くも悪くも僕はこの作品にクリアな説明を求めてしまったようでそれは、、
「福の神が加川という男の体を借りてやってきて、澱んだ小林家の風通しをよくして去っていく。」
というもの。僕はこれで話を理解できた。
喪服?のシーンから始まった気がするので、加川は小林家の守護霊という設定かもしれんな…なんて。
(上映後の監督Q&Aで「ファンタジーの要素は考えてなかった」みたいなこと監督が言っていたのでこの設定はたぶん的外れなんだけど少なくとも僕の中ではそういう話として処理)
だいたい、「鳥、駅前にいましたよ」って完全に意味のないこといいながら家入ってくるなんて人間には無理だよw


加川のキャラがキすぎていて、予備知識ゼロで挑んだ僕は最初、ハネケの『ファニー・ゲーム』的展開になるんじゃないかと戦々恐々だったわけですw 一家皆殺しを心配しながら観てたのは劇場で僕だけだったかもしれない。
「コイツ、ええヤツ?もしかして極悪?」な事情もあって、かなり奥行きのある楽しみ方ができたのは事実。だからこれから観る人にはあらすじも含めて予備知識ゼロで挑んでもらいたい。これ読んでたら無理だけど。


Q&Aでは恥ずかしくて聞けなかったけど、ビンタのシーン、夏希が幹夫を殴り返すところの意味ちょっと知りたかったなぁ。夫の浮気を知らないはずの夏希がなんで殴り返したのか。あの時点では一方的に自分が悪いのに。


最後まで幹夫の浮気がバレないのはあの外人妻が女神だからだろうな…神と人間はセックスしないもんな…


めずらしく劇場

完全なるカウチポテト族(死語?)の僕がめずらしく劇場(東京国際映画祭)シネマート六本木 スクリーン1いって観てきました。